旬を賞味する「つくし」   

つくしの卵とじ 

つくし          20本
たまご          1個

だし カツオと昆布だし(粉末だしのもとでも可)  カップ  1/3
薄口醤油                          大さじ  1
酒                              大さじ  1

つくしはめっきりお目にかかれなくなってしまった。最近の子供たちはつくしが近所にはえるなどとは思っていないだろう。昔は川の土手や広場で3月の下旬からたくさんとれたもので、子供の春休みのお手伝いのひとつがつくし摘みとそのはかまとりだった。
4月になって、さくら見物に近くの川にでかけたら、大きくなって頭の部分が開いてしまったつくしを見つけて、なつかしくなって摘んできた。はじめからつくしが目的ではないので、大きくなりすぎたものがめにとまったから、旬としてはおそいが来年のために一品紹介します。
つくしははかまをとり、アクが苦になるひとは軽く湯がくとよい。


わたしははかまを取り長いものは半分に切って、20分ほど水につけておく。あとはだしと調味料を合わせ、煮立ったらつくしを鍋に並べ、しんなりしたら、とき卵を回しかけて、火を止めふたをして少々むらして出来上がり。ほんのりにがい頭とシャキシャキしたじくの部分が卵になじんで春を感じさせてくれる。


料理のポイントではないが、輸入食材が急増するなか、旬を感じ自分で摘んだ春のいぶきを少々食卓にのせてみるのも楽しい。つくしの1本を口にふくみながら、吟醸酒をすこし冷やしてのどに流し込めば、春が口からお腹にしみわたる。たくさん食べるだけではなく、人間の五感で季節を感じるのも料理かも。
器:伊万里蛸唐草紋