2003年8月16日:九度山町椎出に伝わる「鬼の舞」は、同地の氏神である厳島神社で毎年この日に奉納する神事で、地元では「盆の鬼」と親しみを込める。五穀豊穣、悪疫払い、雨乞いを祈願する鬼で「十人衆」と呼ばれる能役者から成っており、代々伝承されている。
椎出の「鬼の舞」
「鬼の舞」の起源は定かではなく、南北朝の時、敗れた南朝側の落人がこの地に住み着き、都の知識とともに氏神祭礼の法を伝えたものと言われている。
南海電鉄「高野下」駅すぐのところに厳島神社があり、小雨模様をものともせず大勢の人出でにぎわっています。「鬼」は決められた所作のほかに、境内を走り回り、親の要請で子供達をさすったり、その形相で驚かせ泣かせています。親は大笑いで子供はひしって泣きじゃくる光景が境内のあちこちで見られます。
「鬼の舞」は、鬼と謡と笛と太鼓と傘鉾で成り立ち、演者は二週間ほども潔斎し神事をむかえる。鬼は謡にあわせて1.5mほどの棒を振り回しながら踊ります。クライマックスは傘鉾の中から10人ほどの謡の演者が逃げ出し、取り残された鬼は悄然となりながらも祈願を唱え、子供達を威嚇したり、追いかけたりして暴れ回ります。やがて老夫婦が鬼をとりなし揃って神に祈りをささげ終わりを迎えます。